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乳房再建

東京女子医科大学 形成外科
乳房再建とは

乳房再建とは乳癌手術により失われた乳房を作り直す手術です。女性にとっての美しさの象徴でもある乳房は、 喪失により非常に大きな精神的苦痛を伴います。当科では乳癌患者さんの要望に応じて、いくつかの手術方法を提案し再建手術を行っております。また乳癌手術と同時に乳房再建を行う「一次再建(同時再建)」、乳癌手術が終わってしばらくしてから行う「二次再建」の両方に対応させていただいております。

自家組織移植による乳房再建

患者さん自身の体の一部の組織(皮膚・脂肪・筋肉・血管)を乳房欠損部位に移植する方法であり、なかでも遊離皮弁移植術は顕微鏡を用いて微細な血管を縫合するマイクロサージャリーの技術が必要となる非常に高度な手術方法となります。十分な乳房のボリュームと皮膚を同時に再建できることが同法の大きなメリットで、患者さんご自身の組織により得られる乳房の質感は、乳房インプラントのそれよりも格段に優れています。また今まではドナー部の筋肉を採取する「筋皮弁」が多く行われてきましたが、近年では移植組織に筋肉を含めない穿通枝皮弁が開発され、組織採取部位の犠牲は非常に少なくなっています。

人工物(シリコンインプラント)による乳房再建

人工物とはシリコンインプラントとよばれるもので、2014年より保険適用となりました。まず、乳癌切除の手術と同時あるいは術後に、エキスパンダーというシリコン製組織拡張器を大胸筋の下に入れ、それを3ヶ月〜半年かけて少しずつ膨らませる(生理食塩水を注入する)ことで皮膚・筋肉の十分な伸展を図った後に、シリコンインプラントに入れ替える手技が一般的です。この方法の利点は、からだの他の部位に傷をつけずに乳房再建ができ、手術時間が短いとう点です。しかし、手術を2回要する点、人工物であるためにやや硬い触感と下垂した胸の表現が難しい点、破損・露出などの人工物特有の合併症リスクがあります。

上記二つあるいは脂肪注入を組み合わせたもの

自家組織での再建方法だけではボリュームが不足した場合にシリコンインプラントを併用したり、局所的にボリュームを増やしたり、形の修正に脂肪注入を併用する場合があります。脂肪注入はご自身の腹部や大腿部などから脂肪を採取して胸に移植を行います。利点は局所的なボリュームの調整ができ、触感も柔らかい点です。欠点は1回に移植する脂肪の量が限られている点、経時的に脂肪が吸収されてしまう可能性がある点です。

自家組織移植について

当科で施行している自家組織移植では普通~肥満体型の症例に適応する①深下腹壁動脈穿通枝皮弁 (DIEP flap)、比較的やせた体型の症例に適応する②大腿深動脈穿通枝皮弁 (PAP flap)の2種類があります。組織を採取した部位に術後瘢痕が残るため、患者さん個人の生活様式や将来を見据えて術式の選択を行います。患者さんの年齢、体型、乳房サイズ、再建時期、将来の妊娠・出産の希望、など様々なファクターを考慮して最適な手術術式をご提案させていただきます。

東京女子医科大学 形成外科 深下腹壁動脈穿通枝皮弁による乳房再建のシェーマ

深下腹壁動脈穿通枝皮弁による乳房再建のシェーマ

深下腹壁動脈穿通枝皮弁による二次再建

東京女子医科大学 形成外科 3D画像解析カメラを用いた乳房再建シミュレーション

3D画像解析カメラを用いた乳房再建シミュレーション

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